「あんなばなな絵日記」出版記念インタビュー! 毎晩23時。3万5000人の女性の心を癒し続ける「あんなばなな絵日記」井上杏乙とは?

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20代女性が等身大で描く、共感を呼ぶ絵と言葉

2013年10月から、1日も休むことなくInstagramで更新され続けている、井上杏乙(いのうえ・あんな)さんによる絵日記、それが「あんなばなな絵日記」です。フォロワー数は約3.5万人(2016年9月現在)。とくに宣伝活動をしたわけでもありません。いわゆる“クチコミ”で徐々に知られるようになり、女性向けサイトなどで取り上げられるようになりました。

Instagramでは、この何倍ものフォロワーを獲得している方はいらっしゃいますが、「あんなばなな絵日記」は、毎日更新される度に約3000人もの「いいね」が付いています。これは特筆すべき点かもしれません。

井上杏乙さんは、普通に働く都内在住の20代女性です。日記を始めたころはその日の出来事を綴る、まさに“絵日記”でしたが、徐々に、日々思うこと、感じたことを、ちょっとユルめのイラストと、独特の言語感覚を持つ文章とで表すようになりました。

驚くべきことに、井上杏乙さんにはイラストを学んだり、趣味で描いていたという経験がほとんどありません。では「あんなばなな絵日記」はどうやって生まれたのでしょうか? ご本人にお話を伺いました。

 

 

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「机に向かって絵日記を描いている時間が一番幸せ」

井上杏乙(以下、井上)「大学時代に講師でいらっしゃった鈴木康広さんという造形アーティストの影響で、表現することへの欲求があって。それがきっかけではあるんですけれど、でも『あんなばなな絵日記』を始めるにあたっては、ある日、ほんとに何気なく、“よし、今日から始めよう”って」

--えっ、そんな軽く、始まったんですか!? もっと、なんかこう、失恋とか九死に一生とか、私たちが「へぇ」となるようなエピソードはないんでしょうか?

井上「ふふ。すみません、本当にないんですよ。何か表現を、という気持ちがあったのは確かなんですけど、それがイラストであったりInstagramであったりとかは、本当に流れというか」

--イラストの経験がないというのも本当なんですか?

井上「絵日記を始めることになって、イラストレーション青山塾に通いました。それまでは写真には興味を持っていたんですけど、イラストはほとんど(笑)。自分の中にあるものを表現しようと思ったとき、写真だとちょっと難しいなって思っちゃっんです。それじゃあイラストならどうだろうって」

--かなり無謀なスタートだと思うんですけど(笑)、それでいてこれまで1日も欠かさず更新できているのはスゴイですね。ネタ切れの心配やモチベーションの維持などはどうしているんですか?

井上「続けられているのは、読んでいただいた方の反応ももちろんあるんですけれど、それ以前に毎日書くことに苦痛に感じた事はないんですよ。だいたい22時頃に机に向かって、1時間ほどで描きあげてアップするんですけど、その時間が一番幸せです。描きたい事は毎日あるし、描き切れないものはちゃんとストックしていますよ」

--やはり実体験をもとに描いたりしてるんですか?

井上「悲しい気持ちを描くときは実体験が多いです(笑)。逆に幸せな恋愛とかは“妄想”がほとんどですね」

--……。すみません、聞き間違えたかもしれません。“想像”ですよね?

井上「いえ、“妄想”です(笑)。幸せな恋愛については、いくらでも妄想できるんですけど、悲しいことになるとできないんです。」

 

その瞬間の感情とシンクロするのがInstagramの魅力

--「あんなばなな絵日記」のフォロワーには、どのような方が多いのでしょうか?

井上「やはり女性が中心ですね。Instagramの利用者ということで、20代~30代の方が多いように思います。でも10代の方もたくさん見てくれているようで、一昨年に国立で開催した個展には、中学生の女の子も来てくれて、すごくうれしかったです。反応が良いのは、恋愛に関連するものですね。つくづく、“みんな恋してるんだな”って感じます。特に、“今日、同じようなことがありました”っていうコメントをよくいただきます」

--それも毎日更新しているからこそですよね。その日、その時の感情に、直接刺さる。先ほど個展の話が出ましたが、2年ぶりにまた開催されるとか。

井上「はい。前回と同じ会場で、国立にある『アートスペース88』で行います。前回は絵日記を始めて1年経っていなかったのですが、今回はそれ以降だけで2年分、全部あわせれば1000点以上の作品があって。どれを展示しようか選ぶのに苦労しました」

--普段はスマホの画面でしか見られない、「あんなばなな絵日記」の“リアル”に触れられる貴重な機会ですね。

井上「絵日記はクロッキー帳に描いているんですけど、個展では人気の高かった作品を大きく描き直したり、描きおろし作品を展示したりもします。もちろん、原画のクロッキー帳の展示もしますよ」

 

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■あんなばなな絵日記「たいてい、23時。
9/22木~27火 11:00~17:00 最終日は17:00まで
会場:アートスペース88(東京都国立市中1-9-66)

 

個展、書籍化とリアルな世界に進出

--そして、なんと「あんなばなな絵日記」が書籍化される!

井上「そうなんです! 基本的にはInstagramで発表した作品を、再構成したものになります。Instagramでは基本的に時系列に並んでいますが、カテゴリで分けて並べることで、また違った印象を感じてもらえると思います。あっ、もちろん新作も入ってますよ」

--個展や書籍化と、デジタル世界からリアル世界に飛び出した感想は?

井上「Instagramは、気になった人がアクセスしてくれてはじめて見てもらえるのに対して、個展は、たまたま国立に用事があってきた人が、ふらりと来てくれるかもしれない。書籍は何気なく入った本屋さんで“なんだこれ?”って手に取ってもらえるかもしれない。『あんなばなな絵日記』を知ってもらうチャンスが増えることがすごくうれしい!」

 

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■作品集「あんなばなな絵日記」
発売日:9/17土発売 価格:1500円(税別)
※全国の主要書店にて取り扱い
発行:エンターバンク 発売:日本工業新聞社

 

--この本は個展でも買えるのでしょうか?

井上「はい、もちろん。期間中は私も毎日顔を出しています。個展で本を買っていただいた方にはサインもしますし、ポストカードをおまけにつけちゃうと考えています」

--作家本人に会えるというのは、ファンにとっては最大の楽しみですね。

井上「私も、ふだんInstagramを見てくださっている方と直接お会いできるのを楽しみにしています。個展に来られない遠方の方は、まず本で『あんなばなな絵日記』を身近に感じていただけたらうれしいです」

(インタビュー:小貫正貴)

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